第50回:【ゴルフの科学】慣性モーメントとミスヒットについて

最近のゴルフクラブは慣性モーメントが進化し、ミスヒットをした時の影響を軽減してくれます。

近年、ゴルフクラブが進化しボールを芯で捉える重要性が減ってきました。

軽くて丈夫な素材の開発や生産技術の向上、重心位置を変更できる可動式ウェイト、ロフトなどを変更できるいわゆる「カチャカチャ」などの登場により、フェアウェイキープするためには完璧な当たりが必要だったパーシモンヘッド(柿の木のヘッド)の頃とゴルフが大きく変わりました。
一番進化したのはクラブヘッドの慣性モーメントの向上です。

慣性モーメントとは?

慣性モーメントとは、ボールが芯に当たらなかった時に、クラブヘッドが回転しやすいか、しにくいかを表す数値のことを指します。
つまり、フェースの向きなどが狂ってしまう度合いのことです。
また、慣性モーメントはMOI(Moment of Inertia)とも言います。
この慣性モーメントが大きければ大きいほど、ミスヒットした時にヘッドが回転しないので、ボールが曲がる度合いが少なくなります。
以下の2つを比較すると、新しい大きなヘッドのドライバーは慣性モーメントがより大きくなっています。

ヘッドが大きくなったことや重心位置を後方にする設計によって、ボールが芯から外れて当たった場合でも安定性が大きく向上しています。

慣性モーメントとギア効果

ミスヒットをした時、クラブが持っている慣性モーメントの量によってギア効果の度合いが決まります。
ギア効果とは、ボールがクラブの重心から外れて当たった時の打ち出し方向とスピンを変化させる効果のことです。

右の写真のように、まるで2つのギアが反対方向に回転しているように見えることからギア効果と呼ばれています。
ギア効果を簡単に言うとボールがトーに当たった時、クラブヘッドは瞬間的に開く方に回転し、右に飛び出したボールがフック回転により左に戻ってきます。
ヒールに当たった場合はその逆になります。

どちらの場合も芯に当たった時に比べ、真っ直ぐ飛ばすことが難しくなり、安定性は得られません。

慣性モーメントがショットに与える影響

慣性モーメントが大きいドライバーはそうでないドライバ―よりもミスヒット時のクラブヘッド(フェースの向き)の変化を少なくし、ギア効果を最小限におさえてくれる効果があります。
数年前の慣性モーメントが大きいドライバーは、慣性モーメントを小さくし飛距離性能を高くしたドライバ―と比較すると、ボール初速や飛距離という面で劣っていました。
しかし、最新テクノロジーによって、その両方の長所を併せ持つということが可能となりました。
つまり、最近のドライバ―は飛んで曲がらないということです。

慣性モーメントの詳細とショットに与える影響がどのようなものかは以下の動画をご覧ください。
スイングのことはもちろん、クラブに関しても分からないことがあればゴルフテックのコーチにご相談ください。

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